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退職するときにしておくべきこと(退職届・健康保険・年金・離職票・源泉徴収票)

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いつもなづログを見ていただきありがとうございます。

中小企業で人事の仕事をしているなづです。

今日は退職するときに抑えておくべき5つのポイントについて簡単に解説したいと思います。

転職を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

退職届は何日前に出すべきか

結論からいうと、会社の就業規則で定められたルールに従うのがベターです。理由は後述。概ね1か月前と定められている会社が多いです。

民法:退職の申し入れは2週間前

民法627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
1 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。

就業規則:会社で定められた期間

就業規則では労働基準法も最低基準を上回る社員の権利部分や取り決めについて定められています。
退職について30日前や1か月前、3か月前など会社毎にルールが定められています。業務の専門性や職種に応じて何日前に申し出るか個別に定められている場合もあります。退職を考えられている場合は必ず確認しておきましょう。

トラブルを起こしたくなければ就業規則を優先したほうが良い

民法で2週間前と定められているから就業規則は無視してもよいのではないか?と考えられる方もいらっしゃると思います。それも一理あります。法律の話は解釈次第で賛否あると思うのでここでは省略いたします。

一方的に2週間前に退職すること自体は可能ですが、一方会社は退職によって実際に損害が生じた場合、損害賠償を請求する権利があります。
つまり専門的な業務や会社の事業に大きな影響を与える業務を担当している方が、引継ぎに十分な時間をとることができず退職した場合、実際に損害が発生した損害を賠償請求される恐れがあるということになります。引継ぎ期間が十分に取れない不安がある場合は、離職後であったとしても引継ぎに協力する意思があることを退職届と同時に書面で伝えておくと安全です。

退職後の健康保険

退職後の健康保険の取り扱いは主に3パターンあります。

退職後に無職の期間がある場合

離職後は以下の健康保険に加入する必要があります。
1 市区町村の役所で国民健康保険に加入する
2 前職の健康保険を任意継続する(退職後20日以内)
3 家族の扶養に入る

コスト的には「3 家族の扶養に入る」同居家族(場合によっては別居でも可)で働いている方がいる場合は、その方に扶養で健康保険に加入するパターンが一番おすすめです。なぜなら扶養の家族は何人加入しても保険料は変わらない(=無料)からです。家族で働いている方がいる場合はその方に頼み、その方の会社で健康保険加入の手続きをしてもらいましょう。

注意しなければならないのが3の選択肢がない場合は、1か2を選ぶことになりますが、2は退職後20日以内に手続きをしなければ加入できなくなる点です。1と2のどちらが保険料が安いのかは、加入する家族の人数や前職の健康保険(特に健康保険組合は)によって保険料が異なるので、必ず20日以内に保険料を確認してお得な方を選択するのがおすすめです。

退職日の翌日から次の会社に勤める場合

無職の期間がないため、上記の手続きは不要です。新しい職場で健康保険加入の手続きをしてもらいましょう。

退職後の年金

退職後の年金の取り扱いは2パターンあります。

まず初めに厚生年金=会社員の年金国民年金=無職もしくは自営業の年金と覚えておきましょう。
そして、健康保険の2のような任意継続する制度は年金にはありません。

退職後に無職の期間がある場合

1 市区町村の役所で国民年金に加入する
2 配偶者の扶養(国民年金第3号被保険者)に入る

配偶者が会社員で厚生年金に加入している場合は、2を選択することになります。配偶者の会社で国民年金第3号の手続きをしてもらいましょう。

独身の方や、配偶者がいたとしても自営業、無職、厚生年金に加入できないパートの場合は、市区町村の役所で国民年金に加入します。

退職日の翌日から次の会社に勤める場合

健康保険同様に無職の期間がないため、上記の手続きは不要です。新しい職場で厚生年金の手続きをしてもらいましょう。

離職票が必要かどうか

離職票は離職日や離職理由、雇用保険被保険者番号、離職前の賃金等を記載した書類です。
ハローワーク失業手当を受け取るために必ず必要になります。また、稀に前職の退職日や退職時の賃金、雇用保険被保険者番号を確認するために次に就職先の会社に提出するよう求められる場合はあります。その際は前職の会社に離職票の交付を依頼しておきましょう。
退職する前に次の就職先が決まっている場合は基本的に不要です。次の就職先が決まっている場合は失業手当を受け取ることができませんので、退職する会社には不要と伝えておきましょう。前職の事務担当者は郵送手続きと郵送代が省かれるので少し助かります。

源泉徴収票はなくさないように

前職を退職し、現在の年(1月1日~12月31日)に2か所から給与を受け取る場合は、新しい就職先の会社で年末調整を行います。その際に前職の源泉徴収票を提出する必要がありますので必ずなくさないように保管しておきましょう。
万が一紛失した場合は、前職に源泉徴収票を再発行し提出するか、再発行できない場合は年末調整に間に合わなかった場合は翌年に確定申告を行う必要があります。

最後に

いかがでしたでしょうか。

転職する際は退職届・健康保険・年金・離職票源泉徴収票の5点についてあらかじめ抑えておくとスムーズに転職できるのではないかと思います。

ただでさえやることや心労の多い大変な転職の助けになりますと幸いです。