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みなし残業(固定残業手当)は悪なのか

いつもなづログを見ていただきありがとうございます。
中小企業で人事の仕事をしているなづです。

みなし残業って皆様どう思われているでしょうか。

みなし残業(固定残業)=ブラック というイメージを持たれている方も多いと思います。

イメージどころか、「ブラックに決まってるやん!」と考えている人もいれば、「全然ブラックじゃないし、いい制度だよ」と思われている方もいらっしゃると思います。

今日はぜひ、みなし残業や働くことに対しての報酬について、このコラムを読んでくださると嬉しいです。

みなし残業(固定残業)とは

あらかじめ基本給などに残業代が組み込まれている賃金体系のことを言います。

・基本給25万円(残業時間30時間分、65,000円分含む)

↑このような求人票の記載を見たことがある方も多いと思います。みなし残業とはこの30時間分〇〇円の部分のことを差します。

みなし残業(固定残業)を導入してる企業の割合

仕事柄に競合となる求人票を調べることがあり、昨年(2020年)営業職の求人票を100件ほど調べたときは、営業職の47%はこのみなし残業が適用されていました。
営業職の方の約半数はみなし残業という制度のもと働いていることになります。とても身近な制度と言えますね。

オフィスワークの事務職や他の職種の求人でも経験則でいうと(データ取っていなくてすみません。)だいたい30%ぐらいの企業が導入していると思います。

みなし残業の良い点

ある程度まとまった手当が月給に乗っていて、残業ゼロの会社に比べると固定給が高め。

仕事を効率よく終わらせて帰っても給料が減らない。会社による。

給与の逆転現象を防ぐことができる。

時間通りに残業手当が支給される会社の場合、仕事が遅い人に残業手当がつき給与が逆転することがありますよね。管理職が部下の時間をコントロールできていない場合に起こりやすいと思います。

みなし残業の悪い点

ある程度まとまった手当が月給に乗っている分、基本給が低く設定されている場合がある。

仕事を効率よく終わらせても、固定時間分は仕事を指示される可能性がある。指示されると断れない。これも会社による。

ブラック企業のイメージ

残業代をケチってそうなイメージがついている。

何に対しての報酬か考えてみる

上記みなし残業の良い点に乗せた、給料の逆転現象をどように捉えるか、そこにすべて答えが詰まっていると思います。

時間に対する報酬

例えば、1日8時間で10の仕事ができるあなたと、同じ仕事を処理するのに9時間かかる同期さん。
実際に同じ年次で同じ職位の同期と給与に大きな差が出ることはよほど能力主義成果主義を謳っている会社でなければ起こりえないことだと思います。

このような場合、給料は同僚の方が1時間分の残業代が支給され月給3万円ほど高くなります。

最低賃金法では時間に対しての最低基準が定められています。つまり労働時間に対する報酬という考え方です。
法で保障されているわけですから、時間に対して報酬を貰うことは国のお墨付きなわけですね。多少効率が悪かったり能力が劣っていたいりしても時間に対して給料をもらうことは何もおかしいことではないということです。

何より、日本人は学生の頃のアルバイトをはじめ若いころから時間に対しての対価を刷り込まれています。

成果に対する対価

生産性の高い仕事ができるあなたより同僚の給与が高いことに納得感が得られない方は成果に対する対価という考えをお持ちであると思います。

契約を取れば何をしていてもお咎めなしという営業

結論から言えば、考え方にもよりますがブラックでもありホワイトでもありますが、個人的にはホワイトでこれからの時代に合った制度だと考えます。

日本では労働時間に対する報酬という考え方が法律で保障されています。時間に対しての報酬を正義として考えると、みなし残業はブラックにあたりますね。労働時間と給与が比例しないわけですから。

契約さえ取れてればサボっていてもお咎めなしという営業職の話はよく聞く話です。裏を返せば真面目に何時間働いたとしても契約が取れなかったら意味がない(売上や粗利の成果につながらなければ)という考え方です。

営業以外の職種であっても納期に所定の成果を提出できるのであれば過程や手段はある程度自由に決められると思います。

残業手当が貰える管理職以外の社員は残業手当で飯を食えますが、会社は社員の労働時間だけでは飯を与えられません。

という意味では、みなし残業(固定残業手当)=ホワイト これからの働き方に適した報酬制度なのではないかと思います。